Community Design Research : Document Reports

*CEL(大阪ガス エネルギー・文化研究所) HPより引用

「コミュニティ・デザイン論研究」2017年度レクチャー・ドキュメント

同志社大学大学院総合政策科学研究科とCEL(大阪ガス エネルギー・文化研究所)は、教育研究協力協定の一環で同研究科科目「コミュニティ・デザイン論研究」を連携して開設しています。

加速する地域の多文化化、深刻化する次世代の格差の拡大と固定化、直面する地域再編の波、横断的な学びによる地域再生への試行など、激変する社会と切り結ぶ、コミュニティ・デザインの最前線で直面する課題を、文理を横断する多分野の研究・実践から捉え、解決への知を引き出し共有するための講座として企画・運営しているもので、12名の実践者・研究者が授業を担当しています。

このたび、2017年度に行われた授業を再構成して、12本のレクチャー・ドキュメントにまとめCELホームページにて公開いたしました。

新着情報欄からご覧いただけます。
http://www.og-cel.jp/index.html

人口減少とともに災害が多発する列島にあって、改めて地域の持続可能性やレジリエンスとは何かが強く問われています。コミュニティ・デザインをめぐる多分野の知とネットワークが、多地域での実践・研究につながり活かされていくことを願っています。

Recent Articles

○前田昌弘:再定住社会のデザインにむけた住宅・地域計画の研究と実践,2018年度日本建築学会大会(東北)建築計画部門研究懇談会「建築・都市・農村計画研究のカッティングエッジ―若手研究者は研究テーマといかに出会い、発展させてきたか―」資料集,pp.2-6,2018年9月

○座談会 六つの格差から見る建築計画と住宅行政のゆくえ,建築雑誌, 特集 日本のすまいと六つの格差,pp.23-25,日本建築学会,2018年8月

○前田昌弘『地蔵盆の再評価とまちづくり』日本建築士会連合会会誌「建築士」オピニオン、Vol.67, No.789, 2018年6月

○前田昌弘『有隣学区での空き家活用の取り組み』日本建築士会連合会会誌「建築士」オピニオン、Vol.67, No.788, 2018年5

○前田昌弘『社会関係の結び目としての住まいを解くー京都での空き家活用の取り組み』財団法人 第一生命財団機関誌「コミュニティ」第160号、2018年5月

○前田昌弘『再定住社会のデザインにむけて』日本建築士会連合会会誌「建築士」オピニオン、Vol.67, No.787, 2018年4月

Guidebook for Revitalizing Vacant Houses(2018)

有隣学区まちづくり委員会空き家チーム「その空き家、放置していませんか?ー 有隣学区の空き家活用 ー」,2018年3月

住まいのお悩み、地域で解決しませんか?
◇学区では、空き家活用を進めています。
2002年度に発足した「有隣学区まちづくり委員会」は、有隣学区自治連合会や地域の住民の方々と連携し、2014年度から「空き家」を解消すべき問題としてだけではなく、地域資源として活かすための活動(京都市の地域連携型空き家対策促進事業を活用)を進めてきました。
専門家が、空き家活用を支援します。
有隣学区の空き家活用は、有隣学区まちづくり委員会のメンバー4名からなる「空き家チーム」が主導。有志の建築士や大学研究者も参画し、建物の改修プランや補助金の活用といった具体的な提案を行い、実施しています。

Reviewing 3.11 after 6.5 years from architectural planning and community design(2017)

前田昌弘「東日本大震災から6年半 連載を振り返って —建築計画・コミュニティの視点から」日本建築学会 建築雑誌, 2017年11月
当連載「震災復興の転換点」(担当=中島伸、前田昌弘、小泉秀樹)を開始した2016年1月時点で東日本大震災からすでに5年近くが経過し、現在に至るまで被災地はそれぞれの方法で復興へと向かっている(あるいは、いまだに復興に向かえない困難を抱えている)。そのような状況を踏まえ当連載では、復興に向けた取組みに生じつつある“個別性”に着目した。そして、それぞれの復興プロセスになんらかの“転換点”があったとすれば、それはどのようなものであったか、ということをテーマとして掲げた。
ここで言う“点”は地域に決定的な変質をもたらす“特異点”かもしれないし、あるいは、幾つかの“通過点”のひとつかもしれない。それは現時点ではわからない。復興は息の長い取組みなので、厳密な評価には少なくとも10〜 20年といった時間が必要である。とはいえ、東日本大震災は、わが国の社会構造の転換期(人口減少、高齢化など)に発生した大災害であり、復興においても社会組織のレジリエントな再編成が強く求められている。したがって、それぞれの取組みを“点”としてだけとらえるのではなく、どのような“線”が将来にわたって描きうるのか、“走りながら”でも問い続ける努力は決して無駄ではない。そういった、現場ごとのタイムラインについて、現場の人たちが敏感に察知し、また、同時代を生きるできるだけ多くの人々が共有・共感することが重要ではないだろうか。
このような問題意識を必ずしも十分に共有できていたわけではないが、当連載では2016年1月号からさまざまな分野、立場(研究、実務)の専門家から興味深いルポルタージュをご寄稿いただき、2年間の連載企画を終えようとしている。本稿では、建築計画、コミュニティの視点から連載を振り返り、幾つかの論点と今後の検討課題について考えてみたい。

Community Design toward Resettlement of Victims in the Nuclear Disasters(2016)

前田昌弘「原子力災害被災者の再定住とコミュニティ・デザイン」日本建築学会 建築雑誌, 2017年11月

東日本大震災の発生から5年が経過しようとしている。被災地の復興に向けた取り組みの成果が一部ではみえつつあるが、他方で、未だに多くの人々が各地で避難生活を送っている。原子力災害を引き起こした福島第一原発事故の影響は大きく、福島から県内外への避難者は約103,139人にのぼる(2015年11月27日現在、復興庁公表)。放射性物質の人体への影響はみえづらく、また、事故の収束の目処も未だ不透明である。そのため、原子力災害からの再生には多くの不確実性が伴っている。そのような状況下で避難者は、再定住(住みなれた環境から別の安定状態へと移行すること)の見通しを立てることさえ困難であり、多くの不安と葛藤を抱えている。
筆者らの研究室では、福島県から関西方面に避難して来た人々を対象として、避難者の居住実態と住情報支援の方策について発災直後から調査・研究を行ってきた。避難先での支援は現在も大きな課題であるが、一方で、避難元である福島県では原子力災害からの再生に向けて災害公営住宅の供給や原発周辺自治体の復興計画など、新たな取り組みも始まっており、復興は一つの転換点を迎えている。本稿では、転換期において先導的であると思われる取り組みとして、福島県居住支援協議会、および富岡町災害復興計画(第二次)検討委員会の取り組みについて報告し、福島のこれまでと今後について住まいと地域の再生という観点から考えてみたい。

Conserving Safety and Amenity along Narrow Alley(2016)

トンネル路地奥の再生長屋(2016/京都)

築80年を超す平屋の木造家屋。長い年月の間に繰り替えされた継ぎ接ぎ状の改修と老朽化がいたる所に見られ、水廻りが整備されていないこともあり、1 年以上空き家の状態が続いていた。家屋の屋根が路地に対してトンネル路地を形成しており、災害時には老朽化した屋根が路地奥の六軒長屋の住人の方の避難路である路地を塞いでしまう危険性が懸念されていた。改修後は一般的な借家としての活用を予定。設計は予算に合わせて大きな間取りの変更は行わず、家屋がもともと持っていた魅 力を引き出すような計画を行いました。借家を想定して水廻りにはシャワー室を新設し、現代の生活にも合った仕様とした。老朽化し雨漏りしていた屋根を撤去し、陽の入る明るい路地に。本体の屋根は重い瓦屋根から地震に耐え易い軽い板金の 屋根に葺き替えられた。いたるところに見られた老朽化や、柱や床の歪みは改善し、床がかさ上げされていた土間は元来の魅力を取り戻すために床を撤去し、元の姿に復元された。

Regeneration of Machiya (Traditional Wooden Town House) along the Narrow Alley

まわり路地沿いの再生連棟長屋(2016/京都)

表通りから「コ」の字型にのびる、ややめずらしい形状の路地(まわり路地)には、車の通過がなく、光と風がよく通る落ち着いた生活環境が生み出されている。しかし、この路地に沿って軒を連ねる計9件の町家の多くは長らく活用されず空き家となっていた。この町家のオーナーには、借家で収入を得るという考えがなく(商売として考えていない)、また、なるべくお金をかけたくないという考えがあったそうです。駐車場やマンションの用地として活用しないかという話を何度も持ちかけられたそうですが、親から受け継いだ建物に対する愛着もあり、なかなか決断できずにいた。 町家を直してみようと思ったきっかけは、町家に暮らしている人、町家関連の活動をしている人が身近にいたこと。人とのつながりや客観的な評価が励みになり一念発起し、5件の町家をまとめて賃貸住居として改修することにした。融資の借入や相続税対策など、経験してみないとわからないことが多くあったが、様々な人とのつながりの中で不安は次第になくなっていった。オーナーが近くに住んでいるメリットを活かし、入居者とゴミ出しのルールや路地の掃き掃除について話しあうなど、今では路地に住む魅力を再発見し、楽しみながら町家を運営している。

Transitional Lighting Detective Forum 2017 in Kyoto

世界照明探偵団フォーラム 2017 in 京都

世界照明探偵団フォーラムを2002年の東京大会を皮切りに、ニューヨーク、北京、ストックホルム、シンガポール、マドリード、台北などほぼ毎年、全12 回のフォーラム、ワークショップを世界各都市にて開催してきた。世界照明探偵団の発足の地である東京から12 都市を巡回したところで、再び日本に戻り、京都市民や学生と共に、京都の町あかりを考えるフォーラムを開催。3 日間のフォーラムでは京都らしい明かりとは何かの議論を積み、京都の町あかりのプロポーザルを作成し、そのプロポーザルを試す仮設ライトアップ(ライトアップニンジャ)を実施した。→LINK 世界照明探偵団フォーラム報告ページ

Architectural Design for Regenerating Tea Plantation Communities(2016)

前田昌弘 他「未来を開くきっかけとしての建築 -スリランカ旧紅茶農園長屋再生プロジェクト」地域開発, 第613号, 2016年

紅茶は17 世紀頃からヨーロッパで愛飲されるようになり、東西の交易や文化交流において重要な役割を果たしてきた。スリランカ産の紅茶もその一端を担い、世界史の中で重要な位置を占めてきた。「スリランカ」と聞いてもどんな国かピンと来ない人も、「セイロンティー」の産地と言えば、少しイメージが湧いてくるのではなかろうか。ところが、スリランカの紅茶産業をどんな人々が支えてきたのかということについては、少なくとも日本ではほとんど知られていないように思う。  本稿で紹介するプロジェクトに携わるまではわたしたちも同じような認識であったが、半ば偶然にもスリランカの紅茶産業を陰で支えてきた人々と触れ合う機会を得た。現在、紅茶農園の労働者として19世紀末にインド南部から移住してきたタミルの人々の生活を支えるために、彼らが住み続けてきた築130年以上の長屋の再生に携わっている。スリランカとは縁もゆかりもないわたしたちが現地では”負の遺産”と捉えられている紅茶農園に住む人々の支援にどのような形で関われるのか、時には戸惑いを感じながらも試行錯誤を続けている。  ここでは、現在進行形の取り組みを通じて、建築と時間、あるいは建築と支援といった観点から、“未来を開くきっかけ”としての建築の可能性について考えてみたい。

Revitalizing Old Line Houses in Sri Lanka(2014-)

旧紅茶農園の再生長屋とコミュニティ支援活動/スリランカ中央州キャンディ県

Sri Lanka is world-famous for Ceylon tea, the export amount of which was used to be the first of the world. However, the people who support the tea as labor are not well-known to the world. They are Tamil people, immigrants from South India, who are neither British people nor Sri Lankan people. The aim of this project is to revitalize a village, Bawlana village, where Tamil people have been living for 130 years, through support from architecture because they have been marginalized and poor after tea plantation here got closed about 30 years ago. We have regenerated a row house called “line house” in Bawlana. Although 1/3 of it used to be lost before the construction, it becomes a base of local tourism the attractive points of which are the history, the culture and the nature of Bawlana. Line houses in Bawlana consist of characteristic elements which are derived from 3 countries related to tea plantation. They are steel frames made in Britain 130 years ago, local granite and veranda space often seen in houses of Sri Lanka, and floor covered with cowpat closely connected with a ceremony of Hinduism from India. We planed the regeneration by two methods, namely, restoring parts of the original house and recomposing the characteristic elements so that the composition of it becomes seen more clearly. Line houses in the former tea plantation area are often regarded as “negative heritage” in Sri Lanka. However, if the history of Bawlana and Tamil’s life and culture are appraised by various viewpoints, it will be power of drawing the future of Bawlana. We believe that this regeneration will make a chance of it and this regenerated line house will be a place where a new history of Bawlana will be born.

Envisioning Urban Future (2018)

「特集 都市の未来を構想できるか? Envisioning Urban Future」日本建築学会 建築雑誌, 2018年3月

21世紀は都市の時代と言われる。人類の7割近くが都市で生活するようになるとの予測もある(World Urbanization Prospects, United Nations, 2014)。
しかし、現代都市は、人類の生(Life)の器として、十分な性能を有しているのだろうか? 例えば、日本の大都市では出生率が軒並み低下している。確かに、職住を分離し郊外化を進めてきたことで、通勤時間が増大した大都市では、女性の社会進出に伴い、ワークライフバランスを保ちつつ子どもを産み育てることは、困難かもしれない。また、保育施設の整備が不十分など、変化する社会状況に対応した子育て環境が確保されていない、ということもあるだろう。では、女性の社会進出に対応した保育環境の整った、また、職住近接したゆとりある生活を送れる都市をつくることで、出生率低下の問題は解決できるだろうか?
海外のリバビリティが高いとされる都市においても、また日本において比較的住みやすいと言われる都市においても、出生率は低い場合が多い。このことは、近代都市計画が対象としてきた都市の構造や物理的環境とそれらが人間活動に与える影響(例えば、住宅の広さや通勤時間、十分に環境の確保された施設整備やそこへの近接性の確保など)を操作することだけでは、出生率は回復しないことを暗に示している。むしろ、都市に装備されているソフトウエア、都市社会のシステムやそこで暮らす人々に共有されてゆく価値そのものが、生物としての「ヒト」には、マッチしていない。そのことが、出生率の低下の根幹的な理由ではないだろうか。
また、都市は、人が死にゆくという点においても、極めて脆弱な仕組みしか用意していない。孤独死や自殺が多発する状況は、極めて都市的な状況と言えるかもしれず、現代都市の問題を表象している現象のひとつだろう。

Geography of Contemporary Disaster Restoration(2017)

「特集 現代復興の地理学 Geography of Contemporary Disaster Restoration」日本建築学会 建築雑誌, 2017年3月

東日本大震災から約6年という時間の経過のなかで、被災地がいよいよ本格的に復興に向かっている段階(もしくはいまだに向かうことができない困難な段階)にある。そのような状況のなかで2016年4月には熊本地震が発生して甚大な被害がもたらされ、災害と向き合い続ける日本列島ということを私たちは再認識させられている。熊本地震では、東北や全国からの支援者が現地入りし、復旧・復興にかかるノウハウが現場に伝達されていると聞く。考えてみるとわが国では、こうした行政、企業、専門家、市民によるネットワークが復興のたびに技術伝播を伴って形成されてきた。そして、各地での災害リスクや被災状況などその土地に根差した復興が行われる。これは阪神・淡路大震災をひとつの契機とした時空間を超えた「復興ネットワーク」とも呼べるものであり、ここには「現代復興の地理学」とでも呼べる地図があるに違いない。今号では、いまだ道半ばにある東日本大震災からの復興を軸に、前後の復興とのつながりから相対的に未来を描きたい。

Rural and urban sustainability governance(2014)

Rural and urban sustainability governance (Multilevel Environmental Governance for Sustainable Development),United Nations University Press, 2014

The rural and urban communities have a distinct structure, function and dynamism, which provide us with livelihood and define our lives through our various daily activities. Circumstances surrounding the rural and urban communities are increasingly changing, such as with the rapid development towards globalization, and consequently the number of challenges needing solutions seems to be ever on the increase.

The focus of this book is on the rural and urban environments, and the wide-ranging representations of various players’ interacting activities that preserve or destroy these environments. The key issues contemporary to the rural and urban communities include appropriate overall environmental governance involving collaboration and competition among different actors, preservation or creation of a rich and lively living environment, and a search for ways to ensure the inheritance of our greatest assets for following generations.

This book attempts to elucidate the following issues: how we may use rural and urban sustainability as beacons for taking relevant and necessary policy measures and for community activities, and how to further ameliorate such measures and activities. The question of rural and urban sustainability is both specific and rich in context, and offers excellent cases for extracting the essence of multi-layered environmental governance. This volume presents current key academic findings, while also considering interactions between humans and nature, such as local resource management through the commons, and rural–urban interdependence.

Ch.18 Roles of micro finance in critical environmental transition by natural disaster -Case study of resettlement after the Indian Ocean Tsunami in 2004 

Cross-sectoral Research on Restoration Support after Natural Disasters(2010)

「自然災害と復興支援」(みんぱく実践人類学シリーズ9)明石書店、2010年

2004年12月のスマトラ島沖地震で甚大な被害を受けたインドネシア、スリランカ、インド、タイの四カ国での現地調査をもとに、被災地の救援、復興、発展(開発)に求められるものは何かを、文化人類学、防災、都市計画、建築など多角的な見地から論ずる。

“Machizukuri Company” for Revitalization of The Old Housing Estate(2013)

前田昌弘 他 : 市街地型住宅団地再生におけるまちづくり会社の導入に関する研究 -堀川団地を対象として-

In order to regenerate a housing complex, it is general situation that the project is driven by private developers. However, in the case of regeneration in urban area, cooperation between regeneration and community management is more important compared with regeneration in suburban area. This paper intends to find possibilities of “Machizukuri company” in regeneration of “Horikawa Housing Complex” which is the oldest RC housing complex with shops and dwellings in Japan. We analyzed discussion in “the Committee of Horikawa Machizukuri Company” which is composed by members from various speciality and background and interviewed the members about their sense of values and possible scheme to realize Machizukuri Company. As a result, we classifi ed “Machizukuri company” to 4 types by the roles (driver or coordinator) and initiatives (private sector driven or citizen driven). We also pointed out the appropriate schemes realizing each of the types by ownership of land and buildings and relationships between Machizukuri Company and administrative, private developers, the residents and citizen.

Building Trust in Support for Temporary Dwelling after Tsunami Disasters(2014)

前田昌弘,石川直人,伊藤俊介 : 津波被災者への居住支援と “信頼構築” の関係に関する研究 -気仙沼市本吉町における実践を通じて-

本研究は仮設住宅での暑さ・寒さ対策等の住環境改善支援の実践の経験をもとに被災者の支援のあり方を探ったものであり、支援者の限られたリソースにも関わらず支援が成立した要因として以下の 2 点を明らかにした。1)支援を提供する側からみた要因:個では解決できない問題への対応を模索する中で、情報共有を基礎として、「間接的支援」を行う関係性が形成された。2)支援を受ける側からみた要因:仮設の住環境および支援をめぐる不確実な状況下での意思決定において他者(支援社/他の居住者)への「信頼」(能力/姿勢にもとづく)が醸成/活用された。

This study explored support method for victims of the Great East Japan Earthquake of 2011 based on experience of support activity for improvement of housing environment in temporary houses and examined reasons which realized the activity despite of limited resources. 1) Relationships of “support for supporters” was created based on sharing aid information among various support actors in the process of exploring correspondence to problems which cannot be solved by each actors. 2) “Trust” for others (supporters/other residents) are fostered and utilized in the process of decision-making under the uncertain situation.

The Roles of Jizou-bon toward Building Resilient Communities(2015)

前田昌弘 他 : 京都市都心部における地蔵盆の運営実態と参加者の多様性 – レジリエントなコミュニティ形成に果たす地蔵盆の役割に関する研究 –

This paper examined actual condition of management of Jizo-bon in the central area of Kyoto-city and analyzed component of participants of Jizo-bon. As the result, we clarified people (ex. apartment residents) who tend to be unfamiliar with community activities also join in Jizo-bon. This result means that Jizo-bon play a role in the creation of a resilient community in terms of improving the “diversity” of community members which is one of the basic characteristics of resilient communities. In addition, we considered about the reason why Jizo-bon play a rore described as above. We pointed out that Jizo-bon has “flexibility” from view of selectivity of events, number of participants and place corresponded to the situation of each communities. These results suggest that community resources like Jizo-bon which has experienced change in the long time and succeeded as “the core” of community is meaningful in local community management in the era of uncertainty.

The Roles of Communities in Resettlement after Tsunami Disasters(2011)

前田昌弘 津波被災者の再定住地への移住と生活再建におけるコミュニティの役割 -スリランカ南部沿岸集落の多様な関係の持続性-

阪神・淡路大震災(1995年)の被災市街地における住宅再建と災害復興公営住宅団地を比較した研究(北後・樋口・室崎2006)においても指摘されているように、住宅復興は通常、被災者の生活再建のし易さから、被災地での住宅再建が望ましいと考えられている。  一方、新潟県中越地震(2006年)では、多くの集落で被災地外への集団移転が実施された。集団移転が本当に妥当であったか議論の余地はあるが、被災地には被害再発の恐れがある集落も多く、集団移転は実施された。  このように、社会状況や地域性によっては被災地外への住宅移転が避けられない場合がある。その場合、移転先の新しい環境に適応する負担が生じ、被災者の生活再建がさらに困難になる恐れがある。こういった住宅移転の問題について、居住地計画的な対策が必要だと考えられるが、実際的な対策に資するような研究は少ない。  住宅移転の問題はわが国に限らず、インド洋津波(2004年)、ハリケーン・カトリーナ(2005年)、四川大地震(2008年)、ハイチ地震(2010年)などにおいても発生しており、災害復興における普遍的な問題であると考えられる。   また、住宅移転の問題は、個人の生活がどうあるべきかという問題に関わるだけではない。現代社会における生活の質は、家族の関係、友人関係、仕事上の関係など様々な関係によって保たれている。コミュニティをこれら様々な関係の複合体と定義するならば、住宅移転の問題は、平常時のコミュニティがどうあるべきか、既存のコミュニティをどのように維持・継承すべきか、というコミュニティのあり方の問題にも深く関わっている。  本稿が対象とするインド洋津波後のスリランカも、同種の問題を抱える地域である。本稿では、再定住地へと移住した津波被災者の生活再建においてコミュニティが果たした役割の分析を通じて、住宅復興におけるコミュニティの維持・継承のあり方について考察したい。

The Effects of Microcredit on Resettlement after Tsunami Disasters(2011)

前田 昌弘 他 : 再定住地における生活再建とコミュニティ形成に対するマイクロクレジットの効果 – インド洋津波後のスリランカにおける住宅移転をともなう再定住に関する研究 その3-

This paper analyzed effect of Micro Credit in Resettlement Site with research of NGO staff and residents who belong to Micro Credit group. The results are as follows. (1) Micro Credit has economic effect in terms of life reconstruction through loan supply for economic activities in Resettlement Site where economic activities are difficult due to geographical and spatial features of Resettlement Site. (2) Micro Credit has social effect in terms of community formation through Micro Credit activity and re-organization of household relationships in Resettlement Site. NGO staff and residents organized Micro Credit group by using Neighborhood relationship and Blood relationship which were succeeded from previous settlement. And they also created new relationships which are across these existing relationships. (3) These results show possibility of Micro Credit as a method for sustainable residence in resettlement site design after natural disasters.

[Translated Paper] The Effects of Microcredit on Resettlement after Tsunami Disasters(2018)

Masahiro Maeda et.al : The effect of micro credit on life restoration and community formation in resettlement households affected by the tsunami

This paper analyzed the effect of micro credits in resettlement sites from the perspectives of the NGO staff and residents who participated in micro credit groups. The results are listed below. (i) Micro credits have economic effects for reconstructing life by providing loans for economic activities in resettlement sites in which economic activities are difficult due to the geographical and spatial features. (ii) Micro credits have social effects on community formations through micro credit activity and reorganizing household relationships in resettlement sites. NGO staff and residents organized micro credit groups through neighborhood and family/relative relationships, which succeeded from a previous settlement. Moreover, they created new relationships in addition to these existing relationships. (iii) These results show that micro credits may be a method for sustainable residence in resettlement sites that arise after natural disasters.

Resettlement from Tsunami Disasters(2016)

前田昌弘「津波被災と再定住ーコミュニティのレジリエンスを支える」京都大学学術出版会,2016年

自然災害などによって「再定住」を余儀なくされた人びとが直面する生活再建上の問題について、理論的な検討と具体的な事例をもとに論じる。2004年インド洋津波後の継続的調査にもとづいて再定住の論点と方法を体系化した本書は、東日本大震災における再定住のハード面の計画の見直しやソフト面での被災者支援のあり方を検討する上でも有益である。

Masahiro MAEDA

前田昌弘
京都大学大学院工学研究科 附属工学基盤教育研究センター

京都大学大学院工学研究科 建築学専攻

講師

Masahiro MAEDA, Dr.Eng.
Lecturer
Dept. of Architecture and Architectural engineering,
Graduate School of Engineering Kyoto University